実力派ぞろいの応募作品に編集部も大盛り上がりを見せた、「第11回 メテオ・ポラリス彗星賞」!!
フレッシュな魅力が詰まった作品を
ぜひ読んでみてくださいね★
そして、ドキドキの選考結果はこちら!
「犯罪は遺伝的要因が8割を占める」その検証が普遍的な事実となった世界。罪人の子ども達は「境界線【ボーダー】」と呼ばれるようになった――。
モニカは、ボーダーが収容されている施設をめぐり、犯罪防止を唱えている監査官。彼女は、とあるA級ボーダーの収容施設で、かつて自らの父親が罪をなすりつけた人物の娘と出会い――?
華やかで可憐な少女たちの絵がぐっと目を引く、キャラクターづくりが非常に魅力的。彼女たちを眺めているだけで楽しいという反面、テーマは非常に重いものを扱っており、絵柄とお話のギャップに良い意味で裏切られる作品でした。
背景やキャラクターの服装など、世界観は明るくファンタジーにしているため、重めのテーマでも物語に入りやすく、読みやすいところもとても良かったです。今後の課題は、より動きのある絵を入れること。
世界観や設定の説明など、会話が多くなるシーンは、読者が文字を追いかけることが難しくなっていきます。難しいテーマを扱う際は特に、動きのある絵で読者を楽しませながら設定を伝えるように意識できると、難解な印象をあたえずに、お話や設定を理解してもらうことができます。画力は非常に高いので「絵で説明する」という意識も持てれば、より読者を引き込む作品を作ることが出来るでしょう。
「好きな女の子にフラれたので人生やり直そう」そう決意し、屋上から飛び降りた大空翔。しかし隣には知らない男子。「え、誰!? なんで!? どうして一緒に飛び降りてるの――!?」
大混乱の中、転落。そして目を覚ますと、彼らは去年の夏にタイムスリップしていて……?好きな人を振り向かせるため、男子ふたりが知恵を出し合う!タイムスリップ青春コメディ!!
シリアスな冒頭から一転、2ページ目からは怒涛のギャグ&コメディ!!そのギャップに引きこまれ読み進めると、クセ強めな凸凹男子ふたりのやりとりに釘付けになり、さらにはヒロインの可愛さにまで魅了される素敵な作品です。
ギャグのテンポが非常に良く「このふたり、次は何をしでかしてくれるんだ!」と期待をしながらページをめくらせる力がありました。
今後の課題は、書き込みを増やすこと。
トーンをあまり使わずに白黒で表現する画風ですが、現状の書き込み量だと画面が白く少々物足りない印象のページもありました。細かいタッチを増やしたり、線のメリハリをより意識できるようになると画面の密度がぐっと上がるでしょう。キャラクターの個性、ギャグのスピード感など、非常にクセになる内容でした。
次回作も楽しみにしております!
未解決事件の埋もれた情報―――被害にあった死者しか知らない秘密。それを知るため自身の肉体に霊を宿す。それが警察内の秘密組織「警視庁特別霊媒課」。そんな霊媒課に突如、訪れた少年・陽助。
彼は通り魔事件に遭遇し命を落とした兄の霊媒を依頼する。事件解決のため兄と話すことを望む陽助だったが……。生者と死者を繋ぎ心を救済する霊媒刑事のヒューマンドラマ!
こたあむさんは第10回の彗星賞にも応募いただいていますが、画力、ストーリーともに確かな成長を感じました。前作は瑞々しい恋愛作品でしたが、本作では霊媒という難しい題材をテーマに挑戦。
その中で、生者と死者を繋ぎ想いを届ける霊媒師の姿を良く描けていたと思います。全体的な画の水準も高く、後半のキャラクターの感情が溢れ出すような表情は本当に印象に残りました。背景など細かい所まで気を配り丁寧に描くとより印象に残るでしょう。
さらなるレベルアップを図り、デビュー、そして連載を目指しましょう!
お嬢の側仕え歴五年、俺は人生最大の傷を負った――。この地域一帯を治める大地主であり、裏社会を牛耳る極道一家の一人娘・ニニ。
側仕えとして彼女を見守ってきた少年・ゆーしは「しばらく一緒にいたくない」というニニからの突然の拒絶宣言により、距離を置くことに……。「お嬢も成長期だし」と自分を落ち着かせようとするが、彼女が心配でいてもたってもいられない!こっそりニニの後をつけるが――?ひとり立ちしたいお嬢様と世話焼きな側近、想い想われすれ違いラブコメディ!
繊細なタッチと丁寧な仕上げが印象的かつ、コミカルなシーンのテンポやデフォルメされたキャラクター絵が非常にかわいらしい作品。
全体を通して、見せ場となるシーンの描写に非常に力が入っており、作者のキャラクター愛がびしばし伝わってきました。
めくりや、コマからはみ出す大胆な演出も思い切りがよく「このシーンを見てほしい!」という思いが溢れており良かったです。短いページ数の中でキャラクターに即した事件を起こし、それをしっかり解決できているところも、読み切りとして綺麗にまとまっていました。
今後の課題は、キャラクターの線画のメリハリと、画面の白黒バランスを意識すること。現状、線が細くトーンが多い演出のため、グレーの印象が強く画面の圧が弱くなっているシーンが見られます。線の強弱やベタで黒い部分を増やし読者の目線を誘導できるようにすると、画面のクオリティが上がり、より完成度が高くなるでしょう。今後の活躍を楽しみにしております!
一人になったおじいちゃんが心配で、高校進学を機に単身おじいちゃんの元へ引っ越してきたしま。そんなカントリーライフ謳歌中のしまの元へ突然やってきたのは、ウエディングドレス姿の青年だった。
「やっとみつけた、僕の旦那様」しまの目の前に現れた青年はそう告げるけれど…、この人は一体何者なの!?
第10回の彗星賞では昨年奨励賞を受賞したころりよさんですが、今作ではより画力も向上して、良い絵が入っていました。7~8P目の花嫁君の表情がとても良いですね!
一方で、物語がはじまるのが少し遅いのが気になりました。不思議な青年との同居生活が読めるのかと思っていたらお話が終わってしまい少々肩すかしでした。ラブコメを期待していたのでふたりのかけあいをもっと見たかったです。
誰に読んでもらいたいかターゲットを定め、より読者を意識した作品作りを心がければもっと良い作品になると思います。次回作に期待します。
南の大陸・アルマンド王国の第三王子・フォークは、自分が王に選ばれない劣等感に苛まれ自暴自棄になっていた。
ある日、城を飛び出そうとしたところ、バルコニーから転落!呼びかける声に目を覚ますと、見知らぬ天井、見知らぬ世界、そして目の前には――見知らぬ女性。恐る恐る鏡を見ると、そこにはベッドに寝かされている子どもの姿が映っていて――?
落ちこぼれ王子と病弱な少年、世界を飛び越えたふたりが紡ぎ出す、入れ替わりファンタジー!
心理描写が非常に丁寧で、引き込まれる作品です。
フォークとさくり、メインキャラクターが2名いるにも関わらず両方の感情に沿って読み進めることができました。また、キャラクターの気付き、気持ちの変化が起こるシーンの決めゴマがとても魅力的。表情がいきいきとしており、キャラクターがまとう空気感もふくめての演出になっていて、物語がゆっくり丁寧に流れ、キャラクターの変化を体感することができました。
今作は、ストーリーに重点を置いているお話だったので、今後はキャラクターの数やテーマの要素を絞って簡潔な物語を作ることにも挑戦できると、より作品の幅が広がるかと思います。長めのお話をまとめる力はあるので、短めのお話でキャラクターの魅力をより濃く伝える力をつけられると良いでしょう。今後の活躍を楽しみにしております!
「なんで古文を勉強するの!??」小テストの追試を嘆いてたら「助動詞」の世界へ呼ばれてしまった!?訳がわからないままに出会ったのは、個性豊かな助動詞たち。
古典【伊勢物語】の中へ入り、文中から彼らをみつけだしてあげよう!楽しくてためになる!古文をめぐり、女子高生が駆け抜ける青春スペクタル!!
古文の「助動詞」というピンポイントでマイナーな題材を、物語の起伏やキャラ立て、画面構成の工夫で楽しく調理しているのが良かったです。題材と相性の良い筆のタッチもアナログらしい味があり、丁寧な作品づくりを心がけているのが感じられました。
読み応え充分ではあるものの、セリフやト書きが多く40ページがどうしても長く感じられるのは、次回の課題になります。また、人物の髪や服などの細かい処理はまだ上達の余地があるので日々練習を心がけていきましょう。今後、様々な内容のお話が楽しみです!
どの作品もそれぞれ魅力があり、1作品に絞るのがとても難しかったです。
「かげ」の華のある可愛らしい絵柄、「Killer mistress」のパワーのあるキャラや台詞、「警視庁特別霊媒課」の表情や絵の魅せ方が特に印象的でした。
悩みに悩んだ末、審査員賞に選ばせていただいたのは「ラヴ&スリップ」です。とにかく冒頭がとても面白くてやられました。1ページ4コマ目のインパクトがすごく、掴みがバッチリでした!絶妙な台詞回しやキャラの掛け合い、テンポの良さも秀逸でした。読者を楽しませよう、笑わせようとする意気込みが伝わって、最後まで楽しく読ませていただきました。絵も線が綺麗で、女の子の表情が可愛かったです!
気になった点は、主人公の活躍するシーンが少なかったことです。狩辺くんと桃野さんの頑張りは伝わったので、大空くんの見せ場もあると良かったなと思います。
この度は「第11回メテオ・ポラリス彗星賞」にご応募いただきありがとうございました。
今回は掲載作品が7作品と過去最高の本数となりました!ストーリー・画力ともに非常にクオリティの高いものが多く、「ファンタジー」「ギャグ」「ヒューマンドラマ」などジャンルも様々で、編集部一同、非常に楽しく読ませていただきました。
その中でもひときわ注目をあびたのが、準大賞を受賞した「境界のレグリーズ」猫狗累さん、佳作&審査員特別賞 W受賞した「ラヴ&スリップ」Blaさん、佳作を受賞した「警視庁特別霊媒課」こたあむさんの3作品です。
「境界のレグリーズ」はとにかく絵が魅力的で、キャラクターデザインや画面作りにこだわりが感じられ、全体の完成度がとても高い作品。「ラヴ&スリップ」は冒頭1Pの導入が非常にキャッチー!コミカルで軽快なセリフ回しにどんどん引き込まれました。そして「警視庁特別霊媒課」はキャラクターの表情がとても豊かで、性別・年齢さまざまなキャラクターをしっかり描けている点を評価しました。
絵柄もジャンルも異なる3作品ですが、共通していたのは「ひとひねりの工夫」が設定やストーリー、コマ割りに感じられ、「決めとなるシーン」がしっかりと組み込まれていたこと。ご応募いただいた全作品を読み終えた後でも、この3作品は「ここのシーンが良かった!」と編集部内で話題になり、強く印象に残りました。皆さんの今後の活躍がとても楽しみです。
逆に受賞に至らなかった作品は「どんな漫画なのか」「何を伝えたいのか」読後感がぼんやりとしてしまう印象を受けました。設定や世界観を何も知らない読者に興味を持ってもらい、さらには、伝えたいことを受け取ってもらうためには、作品の受け手になる「読者」がどのような人物なのかを想像することが必要です。
「人物像」や「ターゲット」というと難しく感じるかもしれませんが、「こんな漫画が好きな人」「年齢はいくつくらい」「学生なのか社会人なのか」等、まずはざっくりとしたイメージでも構いません。「読者」を想定しイメージすることができれば、どんなキャラクターを主人公にすべきか、どのシーンを大ゴマで描くべきか等が見えてきて、読者に届けるために必要なアプローチを見極めることができます。皆さんの熱い思いが込められた力作をより沢山の人に読んでもらえるように、漫画の先には「読者」が存在することを意識して、作品作りに挑みましょう。
第12回メテオ・ポラリス彗星賞は2020年9月末日締め切りで募集予定です。
詳細が決まり次第、情報を発表いたしますのでお楽しみに! 新たな才能をお待ちしております。