力作の嵐に編集部も大盛り上がりを見せた、「第5回 メテオ・ポラリス彗星賞」。
選考過程で大注目を集めたのはいったいどの作品なのか!?
気になる結果をどどーんと発表!!
子どもの頃からどんくさかったチカと、なにかとチカを手助けしていたアユミ。高校に入り、「好きな人に告白したい」というチカを、アユミはいつものように手助けしようとするが……?
味わいのあるかわいらしい絵が魅力的な作品で、冒頭から物語に惹き込まれました。微妙な表情の変化や、『くつひも』などの小物を使ってキャラクターの心情を表現しているところも注目すべき点でしょう。ただ一方で、ラストの展開がある程度予測できてしまうところは残念でした。また、ところどころ仕上げが雑になってしまっている箇所もあります。自分なりのもうひと捻りを作品に加えつつ、丁寧な仕上げを心がけてください。次回作も楽しみにしています。
作中に登場する動物、特に狐が印象的に描けていました。画面作りも全体を通して丁寧で、好感が持てます。別投稿のもう一作品も最終選考に残っていましたが、評価を分けたのは、動物の描き方でした。デフォルメしてキャラクター化せずに描いていたところに作者の個性が感じられ、キャッチーになっています。その個性を活かすために、27ページからのシーンのような、キャラクターが狐になって主人公と接する一連の流れをもっと早い段階で出せるとより良かったでしょう。また、トーンワークやキャラクターの表情など、作画面ではやや古さを感じさせる所が見受けられます。流行の漫画を研究し、その要素を取り込んで次回作に臨めば、掲載や連載を勝ち取る近道になります。
暖かみのある絵柄が印象的な作品でした。ややキラキラとさせすぎている箇所もありますが、トーンワークによる陰影が綺麗です。課題となるのはストーリー作り。小物として『時計』を使う、『猫』をマスコットにするというアイデアは良いのですが、そのふたつがうまくミックスされていない印象を受けます。また、猫の顔の描き方が人間とほぼ変わらない点も気になりました。狙っていることはおもしろいので、次回作では登場させた要素同士をしっかりと絡められるよう工夫してみましょう。
ちょっと無愛想な女子高生と、感情豊かな幽霊の少女のやりとりがとてもかわいらしく描けていました。作者なりの個性がありながらも、広く受け入れられる絵柄であるという点も評価されたポイントです。一方、ストーリー上の大きな破綻はないとは言え、この内容で42ページという分量は長すぎて、読者が飽きてしまいます。「かわいい、しかし長い」――というのが編集部の率直な評価です。次回作では、コマ割りやページ割りを吟味し、内容に対する最適なページ数を検討すれば、より上位の賞や、掲載も充分に見えてきます。
新生活に夢膨らませる女子高生の前に現れた上半身裸の男、いわく「この桜と俺の乳首、どっちがキレイだと思う?」――。まずは何よりこのつかみが秀逸で、編集部でも「笑った」という評価が多い、愉快な作品でした。キャラクターのボケ・ツッコミの掛け合いもテンポが良く、コメディとして読者を楽しませるためのツボを押さえています。ページ数も内容に見合った分量で、蛇足感なくまとめた所も評価できる点でしょう。一方で、背景を始めとした作画面の粗さや、仕上げの雑さが目立ったのは残念なところです。勢いは重要ですが、読者が違和感を覚えるようなシーンとなってしまっては意味がありません。なるべく丁寧な画面作りを心がけるようにしましょう。
この作品で何よりも良かったのは、キャラクターに魅力があることでしょう。特に和泉実と鞠乃実の頭のおかしさの方向性が、それぞれとても個性的で、2人のやり取りがもっと見たくなりました。キャラクター同士の会話から、作者の読者を楽しませようという意図が伝わってきます。4コマ形式に切り替わるところも、唐突感が逆に面白さとなっていて、楽しく読むことができました。これは個人的な好みもありますが、主人公である鞠乃実の髪型も個性があってよかったです。多彩な表情や、オーバーアクションは、ギャグ漫画を描く上で武器になると思います。一方で、面白くて勢いのあるギャグが20ページも続くと、読者を疲れさせてしまうおそれがあります。次回からは、ちょっと物足りないぐらいの量を心がけてネタを絞り込み、ページを減らし、「もっと読みたい!」という気持ちにさせることができる作品作りを目指してほしいと思います。
おかげ様で「メテオ・ポラリス彗星賞」も5回をむかえました。回を重ねるにつれ、完成度の高い作品が投稿されるようになり、今回も選考会で熱い激論が交わされました。 その中で、特に編集部の目に止まったのが、佳作を受賞された帷子帷さんの「ほどけるふたり」です。まだ荒削りですが、胸を締め付けられるような切ないストーリーや、画面作りに注目です。ぜひ読んでみてください。
さて、今回は“うまく話がまとまっている作品”が多く集まった新人賞になりました。けれども特に飛び抜けたものがなく、あと一歩足りない作品が多い印象も受けました。画力、ストーリー、設定、キャラクターなんでもかまいません。これだけは自分じゃないと描けないと思えるような『個性』を注ぎ込んだ作品作りを意識して、創作活動にはげんでみてください。そうすれば、作品はおのずと魅力を放ち、人を笑わせたり、泣かせたり、感動させたりと、印象に残る『おもしろい作品』に近付きます。
また、読者のことを考えて作品を作ることも大切です。作品の良さ、世界観が自分だけではなく、読者に伝わり広がっていくように、ストーリー展開や、画面作りなどの『作品の魅せ方』も意識してみましょう。
次回の新人賞の締め切りは2015年8月末を予定しております。皆様の才能あふれる作品をお待ちしております。ドシドシ投稿してください。一緒にプロデビューを目指しましょう!!