COMICメテオ・COMICポラリス共にたくさんの作品が集まった、
「第3回 メテオ・ポラリス彗星賞」。今回はなんと、準大賞が出ました! 全体のクオリティもとても高かったです。
そんな激戦を見事くぐり抜け、受賞を勝ち取った未来のスターの作品を大発表!
男の話と愚痴ばかりのクラスメイトになじめず、教室から遠いトイレに逃げ込んだなつみ。ところが、そこには先客が…。美人で秀才の有栖川さんは、トイレの一室を豪華絢爛なプライベートルームに改装して居座る、孤高の変わり者だった!? そんな有栖川さんに興味をもち、近づけば近づくほどクラスで居場所を失っていくなつみ。一方、トイレで悠々自適なお姫様暮らしの有栖川さんにも、何やら複雑な事情があるようで…。
抜群に可愛い女の子たち、ベタながらしっかり練り込まれた話運び、ほんの小さな感情の「揺れ」を巧みに捉えた会話や設定、端々まで心配りの行き届いた画面づくり……すべてが高水準で、文句なしの授賞となりました。細かすぎて所々かえって見づらくもなっているので、メリハリを意識し、もっとのびのび描けばますます魅力的になりそう。あとはそこにどう個性を乗せていけるかが鍵!!
エドー大陸西方に位置する軍事大国・オストルダ国とイツラ帝国。確執を持つ両国は、互いに軍拡を推進していた。イツラ帝国にあるガーネット家は、戦車などの建造を得意とする名家で、その技術力は両国の均衡を崩すとさえ言われていた。そんなガーネット家が突如、デニング盗賊団に襲われる。ガーネット家の一人娘アメリアは、オストルダ国へと逃げ込み、そこで出会った新聞記者ロイドと共に、自慢の戦車を駆りデニング盗賊団に戦いを挑む!
特筆すべきはその描き込み。ファンタジー&ミリタリーという難しい世界観を、このクオリティで描ききったことが高く評価されました。特に背景に関しては即デビューできるレベル。一方で、キャラが背景に埋もれがちなのが残念。今後はキャラを立たせることを強く意識して作画してほしいです。ストーリーは王道で気持ちよく読めるが、先の展開も読みやすい。読者の想像をいい意味で裏切るようなもう一展開がほしかったです。
たんぽぽ、あじさい、ひまわりに月下美人……種類は様々なれど、女の子は思春期になると頭に花が咲く――! ついに花が咲いた一条薫(まさに花の女子高生)は、嬉しさでいっぱい。クラスの友人たちともその話で持ち切りだった。そんな中、クールで人を寄せ付けないクラスメイトの星月小夜子は、まだ花を咲かせていなかった。どんな花が咲くか興味を持った薫は、小夜子に話しかけるが……。
女の子の頭に花が咲く、というネタも面白く、話にもしっかりからめられており、全体的にうまくまとまっている作品でした。ただ、会話の部分でコマ数が多かったり、原稿用紙の枠内に収めようと意識しすぎているのか、読んでいて窮屈に感じる所も多かったです。斬新なネタを使っているのですから、コマ割りや構図ももっと大胆に思いきって描いてほしかったです。
女の子ふたりの透明感あふれるビジュアルはとても魅力的で、いじらしい表情や仕草についついニヤニヤさせられました。課題は、何よりストーリーづくり! 動機もきっかけも葛藤も、ほとんど提示されないまま、あっさり百合カップルが成立してしまいキャラの心理に入っていけません。次作では、雰囲気だけに頼らないメリハリあるプロットづくりに取り組んでみましょう。構図やコマ割り・背景などにも、まだまだ単調さが目立つのでもっと工夫を。
タイトルや扉絵も大切な漫画の一部です。この作品では、「インパクトのあるタイトル」と「可愛らしい表紙絵」にまず興味をひかれました。 また、キャラクターたちの会話のテンポがとても良く、コントのような掛け合いや、ちょっとヌケたノリが非常に魅力的でした。その一方で、ストーリーにタイトルほどの驚きがなかったのが残念。持ち前のテンポの良さに頼りすぎず、起承転結の流れを意識してストーリーを練った次回作を期待します。
この作品の完成度が高い部分は、台詞や会話の際の仕草、表情などで心情の変化をうまく描写出来ていたところです。細部であるけれど大事なところを、良く作り込んであります。自然に見えますが、根気よくコンテを修正したのではないかと思えます。事件が主人公に降りかかる巻き込まれパターンの物語はココをおろそかにすると、その場の出来事にキャラがリアクションばかりしていて心情変化の読みづらい、「物語が主人公を動かしている」印象を与えるので注意が必要です。
次作に期待することは主人公達にやりたいけど出来ないこと、やらなければいけないけどやりたくないこと等、自分の未熟さの中であがいている感じを、本作よりもう少し追加することです。それができれば描写の厚みが増し、読者層も広がると思います。
メテオ・ポラリス彗星賞も3回目をむかえました。回数を重ねるごとに、応募作品のレベルがあがっているのを感じ、選考も白熱したものになり編集部一同大変嬉しく思っております。そんなレベルの高い作品が集まった今回。選考メンバー全員が高く評価をし、見事に準大賞に輝いた作品がありました。それが「トイレの有栖川さん」です。登場人物達の細やかなしぐさや、感情表現などが秀逸で、心に残り、また読みたいと思える素敵な作品です。佳作を受賞した作品も個性が強く、内容がストレートに伝わってきて、我々に強烈なインパクトを与えてくれました。
今回、評価が高かった作品で共通していることは、『印象に残る』という点です。その要素は画力だったり、アイデアだったり、ストーリーだったりと、それぞれですが、どれも作者自身にしか描けない作品です。
また、流行のフレーズや設定を取り入れた作品が多く見られました。流行を取り入れるのは悪くありませんが、それだけには終わらず、独自性も作品に込めていただきたいと思いました。読者の印象に残る、自分だけしか描けない作品作りを心がけましょう。
次回の「第4回 メテオ・ポラリス 彗星賞」の締め切りは2014年5月末です。また新しい才能に出会えるのを楽しみにしております。たくさんのご応募ありがとうございました!